【映画鑑賞メモ】シェイプ・オブ・ウォーター【ネタバレあり】
シェイプ・オブ・ウォーター
2020年8月7日(金) DVDにて鑑賞
字幕版
ギレルモ・デル・トロ監督の『パンズ・ラビリンス』が大好きで、こちらもずっと鑑賞したかった作品。
監督といえばなダークファンタジー要素たっぷりでまた大好きな作品が増えてしまった。。。
全体を通して、時代背景も相まってレトロな雰囲気と音楽がとっても素敵。
でもそんな中にもたくさんの伏線とモチーフがあって、何度見ても美しい。
ファンタジーとリアリティの融合が本当にうまいし、見る人によってどちらが軸になるか分かれる。
『パンズ・ラビリンス』もそうだけど、結末をハッピーエンドととるかバッドエンドととるかはその人次第。
ファンタジー視点で見ればハッピーエンドだし、リアリティ視点で見ればきっとバッドエンド。
ファンタジー(おとぎ話)的には、「異類婚姻譚」と呼ばれるストーリーだと思う。
人間と、人間以外の種族(ここでは半魚人)が結ばれるストーリー。
主人公のイライザは声を失っているから、人魚姫のモチーフなのかな。そう考えると、エンディングで「彼」と一緒に海へ帰っていったことの意味も分かるしハッピーエンディングといえる。人間の姿は本当の彼女の姿ではなかったという解釈。
あとポスターにもなっているラストシーンの描写は、パンプスが脱げていることから足を解放するというか、人間の足の形にとらわれていたものが解き放たれるようなそんな描写なのかなって。
次、衣装と舞台美術の話。
主に使われている象徴的な色彩が2色。
[赤]と[ティール]
ティールは青緑色って感じの色でしょうか、ここでは作中で言及されているように「ティール」という表現を使います。
物語前半は[ティール]の世界です。イライザが身にまとった衣裳も[ティール]色、舞台美術も[ティール]を中心としています。
物語後半になるにつれて、その世界に[赤]が差し込まれていきます。
印象的なのがイライザの衣装。
半魚人と心を通わせていくにつれて、彼女の服装は[赤]く染まっていきます。
以下の記事の考察に全面同意です。
このように本作では「緑色」には欺瞞、偽り、虚構といったイメージがついて回っています。対照的に「赤色」には真実、本心、心からの愛といったイメージが伺えます。
ううむ確かに。
また、個人的には[マイノリティ]と[マジョリティ]の対比もあるように感じられます。
[赤]=マイノリティ
[ティール]=マジョリティ
です。
ジャイルズが描いたポスターが赤色から緑色(ティール)へと変更するよう要請されます。
それはマイノリティを主張することを許さない、マジョリティへの同調圧力を感じさせます。
ヒロインのイライザは障がいを持っていますし、友人のジャイルズは性的マイノリティ。世間的に孤独を感じている登場人物が多く描かれています。
最後にまた考察記事をいくつか張っておこう。
本当にいろいろ考えさせられる作品ですが、それだけではなくとても美しく芸術的な作品です。
途中ちょっと愛猫家的につらいシーンもありましたが。。。
随所で拾いきれなかった伏線とモチーフを回収するためにも何度でも見たい。
以上です。
あーーーあとイライザの「Fxxk You」が何度見ても最高